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歯科の受付応対・事務

--4. 応対の作法--

魅力ある歯科衛生士や歯科助手

魅力ある歯科衛生士や歯科助手が増えてきた
近年、魅力あふれる歯科衛生士や歯科助手に出逢うことが多くなった。
そこには働く歯科衛生士や歯科助手の洗練された振る舞いというものがみ られるように思う。
活力のある確かな振る舞いは、本人の仕事に対する姿勢と自信か ら生まれ出たものに違いない。
1)自分の勤務先のことは十分理解しておく
勤務先の歴史・その背景。
モットーをはじめ患者層・疾病の種類・患者の混雑す る時間帯などは、当然知っておかなければならない事柄である。
また同じ職場で働 く人たちの考え方・性格・趣味や、できれば家族関係なども考慮に入れて働くと職場での上手なつきあい方ができる。
2)自分の仕事はなにかということをよく承知し、前向きに進める
自分がする仕事にはどのようなものがあるのか確かめる。
そのためには、 自分の 仕事をよく理解し、仕事の流れのなかでどんなときになにをすべきなのかを知る必 要がある。
その一つの方法として、自分の仕事ファイルをつくり気のついたこと、 実施したいこと、できることなどをファイルにまとめておくとよい。
3)仕事には正確さ、迅速さ、でき上がりの美しさなどが要求される
命令、指示されたことを明瞭に的確につかむ。
そしてすばやく真意を汲みとり意 向に従うことが必要である。
仕上がりの美しさも仕事のでき具合を左右する大きな 要素である。
4)働くことに喜びと誇りをもつ
仕事を愛し仕事に喜びを見出す。
つねに働くことに感謝の気持ちがともなわなけ ればこの喜びは生まれてこない。
強い責任感と意欲をもって仕事をすれば、必ず仕 事への愛着がわくものである。
そして仕事をし終わったときに自分なりの満足感が 得られる。
5)職場のルールを守る
職場によって少しずつ条件が違うので、ルールが異なるが、基本的な考え方では 差がない。
集団生活でのルールは必然的なものであり、無視すれば混乱が起こる。
(1)上司への態度
(1)返事は明るく、すぐにする。
座ったままで用件をきくのはよくない。
(2)真正面に立たず、少し横に寄った位置で話を伺う。
(3)言葉はていねいにして、敬語を遣う。
(2)命令の受け方
(1)快く返事をして、すぐに指示者の側にいく。
(2)気持ちを集中して用件を聞きもらさない。
(3)途中で回出しをしない。
わからないところはあとでたずねる。
(4)大事なことはメモをする。
(5)聞き終わったら復唱する。
(6)実行した後は報告する。
(3)始業時間はすぐに仕事を始める時間と心得る。
始業時間ぎりぎりに出勤すると、仕事はすぐに始められない。
歯科衛生士の任務
は朝の掃除から始まって器械の管理、診療の準備などがあるので、少なくとも15 分から30分早く出勤しないとこなせない。
(4)私用外出・電話。
(1)無断で席を離れない。
やむをえない私用があるときは、上司の許可を得てか ら外出する。
私用外出の許可を同僚に頼むのはルール違反である。
(2)化粧直しにあまり時間をかけないようにする。
(3)私用電話にあまり時間を費やさないようにする。
(4)私語はできるだけ慎む。
(5)休暇をとるルール。
休暇は働く者にとってリフレッシュや自己啓発に努めるよいチャンスである。
しかし、休日限は職場で好き勝手にとってよいというものではない。
院長や患者、同僚 に迷惑をかけないように調整しなければならない。
結婚式、法事、旅行などのように前もって予定がわかっているものは、少なくと も1週間以上前には報告して、仕事に支障のないように配慮する。
病気や事故などの場合でも、朝のうちあるいは早目に電話連絡して他のスタッフ に迷惑をかけないようにする。
また、いざというときのためにも普段から整理整頓して、だれにでも仕事や書類 がわかるようにしておくこと力`大切である。
休みを目一杯使わず明日からの仕事のことも考えて、 1日は休養のためにとって おくとよい。
とくに海外旅行をしたときには時差のことも考えて体を休める余裕を もちたいものである。


好印象を与える歯科衛生士や歯科助手
1)感受性を豊かにする
美しいものを美しいとみる能力、これはそう簡単にできる能力ではない。
日ごろ からよいもの、美しいもの、豊かなものをよくみて、そのよいところを自分のもの にする能力を養うことが必要である。
そのためには美術館、博物館、音楽会、劇場 または個展など、よい催物に足を運び感性を養い高めることが大切である。
とき には趣味として絵を習い、歌を学び、書の稽古をする。
日常生活のなかで身につけ ることに時間を割くことをいとわないように心がけていれば、いつの日かそれが感 性として育っていくものである。
2)相手の気持ちをわかろうと努力する
相手がなぜこのようなことをしたり、話したりしたのかよく考えてみる。
そして できるだけ早く意図するところをくんで対応する。
3)最初の出逢いで印象づける
(1)姿勢と態度 背筋を伸ばし、おなかを引き締め、体の重心を真ん中におくようにする。
前かが みになったり、ふんぞり返ったりしない。
視線はあまり下に落とさない。
椅子にか けているときはしっかり座って脚を組まない。
電話をかけているときに手にもって いる鉛筆や電話のコードをもてあそばないようにする。
きょときょとした落ち着き のない態度はよくない。
柔らかい物腰は温かみを感じさせる。
(2)身だしなみ
きちんとした服装は自分自身や仕事をしている人の気持ちをひきじめ、職場であ るということの自覚がでる。
来訪者からは自分がどんな感じの人か第一印象での採 点を受けることが多い。
そのためには清潔でしわやたるみのない物を身につけ、あ まり人目をひくようなはでな服装をしない。
化粧は薄化粧にする。
(3)言葉遣い
身だしなみと同様に、きちんとした言葉の遣える人、敬語のわきまえのある人は それなりに尊敬されるが、相手によって言葉遣いを変えることも必要である。
年代 によっても地域によっても適度に相手にあったように変えると親しみが増す。
尊大 ないい方。
いいっ放しのいい方・粗野ないい方・舌たらずなもののいい方をしない。


動作を美しくみせるために
1)指をそろえる
きちんと立ったとき、物を指し示すとき、物の受け渡しをするとき、拍手すると き、物をもったときなど、指が目立つときには指をそろえると美しくみえる。
いず れも普段日常生活のなかで注意して行い、自分のものにしてしまわないと役に立た ない。
2)物の受け渡しは両手でする たとえ」ヽさなものであっても、日上の人に物を差し出すときにはもう一方の手を添える。
両手でもてないだヽさな物の場合は、 もった右手にちょっと左手を添える。
3)動作にけじめをつける
一つの動作をだらだらとしない。
一つ一つの動作を区切って行うときびきびした 動作にみえる。
4)動作の動きに緩急をつける
早くしたほうがよいときと、ゆっくりしたほうが優雅にみえるときがある。
たと えば、お辞儀をするときには、頭を下げるときは早く、上げるときにはゆっくり上 げると優雅にみえる。
5)体の脇をあけない
物事をする際に腕を脇からあまり離さないように心がける。
たとえば雑巾を絞る とき、物を干すとき、洗濯をするとき、吊り革をにぎるときなど脇をあまりあけな いほうがよい。
6)体の重心をうまく移す
不安定な姿勢をとらないように気をつける。
舞踊の所作、体操の動作をみてもわ かるように、低い姿勢になったときも、手を差し伸ばしたときにも重心をうまく安 定させ、落ち着いた感じを与えるようにする。


一般的な作法

1)お辞儀
誠意をもって人と対応するとき、相手を認め尊敬する仕草の一つにお辞儀があ る。
私たち日本人の作法はお辞儀から始まるといっても過言ではない。
お辞儀の仕方には、四つの種類がある。
(1)目礼
目だけで挨拶する。
廊下ですれ違ったとき、手の離せないときなど友だち同士や ごく親しい問柄の人の場合の挨拶である。
(2)会釈
上体を15度くらい前に倒して挨拶する。
同僚や仕事上の親しい人に、また廊下 や仕事中に上司と会った場合に行う。
(3)敬礼
上体を30度くらい倒して頭を下げる。
一般的な挨拶、来客の送り迎え、上司へ の挨拶などの場合に行う。
(4) 最敬礼 上体を45度程度に傾けて行う丁重な礼である。
身分の高い人の送迎、お詫びを いうとき、お礼を述べるときなどに行う。
最敬ネしのなかでもとくに深々と頭を下 げ、一呼吸おいてゆっくりと上げるときがある。
これは儀式のときにする最敬礼だ と心得ておくとよい。
基本的な動作は、足をそろえ、背筋を伸ばしてきちんと立つ。
この基本姿勢から腰を曲げ上体を傾けていく。
必要な角度まで頭を下げたら、 ちょっと静止し、ゆっくりと頭を上げる。
お辞儀の前後には必ず相手の目をみて、 心をこめて行うことが大切である。
女性の場合は、指をそろえ両手を軽く重ねて体 の前におく。
(5)職場でのお辞儀
職場でのお辞儀は立ってするのが原則である。
椅子にかけたままのお辞儀は友人 同士か、よほど親しい間柄の人しか許されないものと認識しておきたい。
2)挨拶
相手との心のふれあいである。
挨拶は家庭であれ職場であれその日はじめて顔を あわせるときには、「おはようございます」「こんにちはJ「こんばんは」などの声 をかけあう。
自分のほうから先に声をかけたいものであるが、もしいい遅れたら同 じ言葉を返したあとにちょっと言葉を添えるとよい。
「おはようございます、今日 もお元気ですね」「今日は、いい天気になりましたね」「今晩は、よく降りました ね」というように会話がスムーズにいく。
「ありがとう」「すみません」「どうぞJ 「さようなら」「お先に」「いただきます」「ごちそうさま」、これくらいの挨拶は自 然にできるようにしたい。
言葉だけではなく「にっこりとJほほえみながら言えたらなおすばらしい。
美しい日本語を上手に遣いこなせるようになるには、日常的な努力が大切であ る。
3)態度
相手をつねに尊重し、自分も卑屈にならないことが大切である。
自分の置かれている立場を認識し、相手に好感を与えるように配慮する。


応対の要領

来客の場合
「ようこそいらしゃいましたJという気持ちでほほえみをもって迎え入れ、てい ねいにお辞儀をする。
仕事がたてこんでいるときは「少々お待ちくださいませJと 声をかける。
電話中などで声をかけられないときは、相手をみて会釈する。
2)名刺の受け方
立ち上がって右手に受け左手を添える。
名前と肩書を確認する。
名前が読めない 場合は、「失ネしでございますが、お名前はなんとお読みするのでしょうか」とたず ねる。
名刺をもった手は胸から下に下げない。
3)取りつぎ
要件を正しく理解して担当者に連絡する。
担当者の在否を確かめて、その人の指 示に従う。
不在の場合は、その旨を伝え待つてもらうか伝言を書いてもらうかす る。
4)案内の仕方
歩調を来訪者に合わせ二、三歩前を歩く。
早めに「あの角を曲がります」とか 「エレベーターで5階でございます」とか知らせる。
方向を示すときの手は、指し 指ではなく指をそろえて手のひらを斜めにして示す。
次に応接室のドアをあけ客を 招き入れ、上座に座ってもらう。
「しばらくお待ちくださいませ」といって下がる。
5)茶菓の出し方
お茶はその種類によって出し方を変える。
適温、適量となるように加減し、お茶 を七分目くらいまで注ぐ。
複数の人に入れる場合はお茶の濃さが同じようになるよ うにする。
茶碗の底・茶托はぬれていないか注意する。
応接室に運んできたときは 必ずノックし、返事があってから「お茶をおもちしました」と声をかけ、入口で一 礼して入る。
サイドテーブルがある場合は、その上にいったんお盆を置き、右手で 茶托をもち左手を添えて「どうぞ」、「粗茶でございますがJなどといって客の前へ 置く。
サイドテーブルがないときは片手でもよいが、一度テーブルに置いてから客 の前へ出してもよい。
茶碗に図柄が描かれているときは、客からみて正面に絵がくるようにもってい く。
内側に模様がある場合は、客になかの絵がまっすぐみえるように置く。
茶托に木目がある場合は、木目が横になるように置く。
そのとき粗い木目のほう が手前にくるように注意する。
机の上が書類があって置けないときは、「失礼します。
こちらにおかせていただ いてよろしいでしょうか」ときいてから邪魔にならないところに置く。
菓子は茶の 左側に置くが、盛り菓子にする場合は5・ 7・9の奇数にして、取り箸を添える。
コ ーヒーや紅茶は客の好みを確かめてから出すようにする。
出し終えたら「失ネしいたしました」、「どうぞごゆっくりなさってくださいませ」 と挨拶し、一礼して下がる。
6)食事の出し方
食事の時間が近づいたら、さりげなく準備する。
もし用意をしていなかった場合 は店に注文してもよいが、そのままを出すのではなくちょっと手を加えたいもので ある。
吸物をつくるとか、漬物を器に盛るとか、割箸を上等な塗り箸にかえて箸置 きを添えるとかの工夫をしてみるとよい。
7)来客の見送り
来客が帰る気配をみせたら、「もう少しごゆっくりなさってください」とか「ま だ早いじゃありませんか」と声をかける。
再度辞意を表したら「せっかくおでまし くださいましたのに、おかまいもできませんですみません」といって別れの挨拶を する。
挨拶は客間でする。
出迎えたときと同じように玄関まで導く。
集合住宅や事 務所などでは、エレベーターまで送る。
目上の人の場合には、 1階まで降り玄関ま で送ってから来客の姿がみえなくなるまで見送る。
年配の客の場合には「お手洗い はよろしいでしょうか」と声をかけるのも一つの心配りである。


訪間の場合
あらかじめ訪間の意を告げ予約しておく。
電話か手紙で訪間の目的を手短に伝え、相手の都合のよい時間をとってもらえる ように依頼する。
先方が地位のある忙しい人であれば秘書や家人に頼み、直接には 頼まないほうがよい。
時間が決まれば遅れないように注意し、二、三分前には到着 し余裕をもつようにする。
1)チャイムの押し方
チャイムは1回押したら15秒間くらい待つのがエチケットである。
たて続けに 鳴らすとせきたてているようで失礼になる。
インターホーンの場合は簡単に挨拶を し、名前を告げて待つ。
2)コートと履物
儀礼的な訪間で先方が目上の人であれば、コートは脱いで挨拶する。
それ以外は 現代の考え方では、コート類は着たままでも「すぐに失礼しますからJと断って用 件を済ませる場合は許されるようである。
家に招き入れられた場合、履物は2段階の動作でそろえる。
まず前向きで上が り、向きを変えてから膝をついて履物を向こうむきにそろえる。
脱いだコート類は 軽くたたんで玄関の隅において置く。
置き場所に迷うときは先方にきいてからハン ガーなどにかける。
3)手みやげの渡し方
手みやげは紙バッグや風呂敷から出してからわたす。
訪問する場合にはちょっとした手みやげを持参する慣習がある。
相手の家族構成 や生活環境を考えて適当なものを選ぶ。
あまり相手の近所では買わないほうがよ い。
前から選んでいたものをもっていく。
玄関で失礼する以外は客間に通り挨拶をしてから出す。
4)和室での作法
(1)上座と下座を心得る
日本間の場合は、床の間を背にする席が上座、あとは床の間に近いほうで出入口 から遠いほど席の位置が高くなる。
相客がある場合は先客に上座をすすめる。
(2)畳のへりを踏まない
和室内を歩くときは、並べてある座布団や畳のへりを踏まないようにする。
大ま たにあるかないで足を滑らせるような気持ちで静かに歩く。
(3)最初から座布団に座らない
挨拶が済まないうちは入口に近いところで畳の上に座って控えている。
勧められ てはじめて座布団に座る。
まず座布団の下座で膝をつき、両手で座布団の両端を抑 え、膝でいざって片膝ずつ座布団にのせる。
主人が入室したら、座布団から下りて挨拶する。
座布団から下りるときも片膝ず つ下りる。
勧められたら、あらためて座布団に座る。
(4)和室でのお辞儀
前述したように、お辞儀には会釈、敬礼、最敬礼という三つがある。
お辞儀の前後ではかならず相手の目をみることが大切である。
会釈は軽いお辞儀で手のひらを膝頭の斜め前につけ、指先が畳に触れる程度ま で上体を30度に倒す。
敬礼は普通のお辞儀で会釈よりさらに深く頭を下げ、指を 第二関節あたりまで畳につける。
最敬礼は敬礼よりも一段深く頭を下げ、頭の真下 で両手の人さし指。
中指・親指が触れ合うか重なるように手のひらを畳につける。
5)洋室での作法
(1)上座と下座
和室のように厳しい決まりはない。
一般にいわれているにはマントルピース (mantelpiece:暖炉のたき口を囲んでいる飾りのついた枠)に背を向ける席が最 上席であるとされている。
マントルピースのある家はそんなに多くないので、普通 | は出入口から離れた奥のほうが上席となる。
もう一つの考え方として椅子による順位がある。
一人掛けのアームチェアがもっとも格が上で、次にソファー、アームのない椅子、スツール(stool:背もたれのない椅子)の順である。
しかし、現在では応接セットとして組み合わされている椅 子では、ゆったりしたソファーを一番上席、アームのある一人掛けを次席とするこ ともある。
洋間に案内されたらアームのない椅子かスツールにかけて待ち、主人が入室したら立ち上がって挨拶する。
そして勧められた椅子に座る。
(2)椅子の座り方
椅子は左側からかける。
椅子の左隣に立ち、椅子の背に右手を軽くかけ、体を椅 子の前に入れて、いったんそこに立ってから浅く腰をおろす。
背筋を伸ばし、膝と足先をきちっとつけて、足をそろえる。
手は指をそろえて膝 の上に軽く置く。
ソファーでは体の向きを少し斜めにして主人倶1のほうに向けると よい。
ひじかけにひじをのせたり、足を組まないように気をつける。
(3)もち物の置き方
ハンドバッグは後ろ、椅子の背との間に置くか、床に置く。
(4)コーヒーや紅茶の飲み方
コーヒーや紅茶の飲み方は自由でよいが、接待側の好意を無にしないようおいし くいただくという気持ちで飲むのがよい。
カップの取っ手が左側に向いて出されたら、受け皿の上でそっと右側に回してか ら右手で飲む。
パーティーなどで立ったままのときは左手で受け皿をもち、右手で カップをもって飲んでもよい。
また受け皿をもったまま飲むということは、座って いてもテーブルから遠い席の場合には許される。
(5)和菓子の食べ方
抹茶の場合は菓子を先に食べてから茶を飲む。
煎茶の場合は、どちらが先でもよ いが、茶と菓子を交互にバランスよく手にするように心がける。
銘々皿で出された 菓子は添えられている楊子で、端から少しずつ切って回へ入れる。
盛り皿で出され たときは、添えられている取り箸で懐紙に取ってから食べる。
懐紙は菓子を口に入れるときにちょっと添えたり、菓子を包んで持ち帰るときに 使う。
また茶碗についた回紅を拭うのにも使用できるので、いつももっているよう |こ心がける。
6)辞去のタイミング
話が途切れたとき、相手に電話がかかってきたり、なにか用事ができたとき、お 茶を入れ替えてくれたときなどが辞去の潮時である。
「ではそろそろ失礼させていただきますJとか、「大変長居をしてしまいました。
ではこれで失礼させていただきます」といって辞去する。
相手に引きとめられて も、「ありがとうございます。
今日はこれで失礼させていただきます」と断って席 を立つ。
お茶を入れ替えてもらったときは、「ありがとうございます。
ではこれを いただいてからお暇いたしますJなどというと感じがよい。
辞去の挨拶は客間で済 ませる。
(1)玄関で身支度を調えるのは失礼になる
「どうぞお召しください」とコートを勧められたら、寒い時候であれば、「お言葉 に甘えさせていただきます」といってコートだけを着る。
外に出てからマフラーや 手袋はつける。
(2)靴をはくとき
家の人に背中を向けないように配慮し、靴を斜めにおきかえてそっとはくのがよ い。
7)帰宅後すぐにはがきか電話で礼を述べる
一両日のうちにはがきか電話で礼を述べる。
電話の場合は、帰宅したらすぐにか__けるとよい。
「ただいま帰りました。
今日は本当にいろいろお世話になりましてあ りがとうございました」というように礼を述べる。


歯科衛生士の作法

診療所の場合
診療所のなかにはビルやマンションの一室で開業しているところと、自宅と診 療所が一緒になっているところがある。
別になっているところでは、私生活とは切り離されているのであまり問題はな い。
しかし、一緒のところではときには家族的なつきあいが入ってくるので、十分 気を配りたい。
一般的な作法や応対は、企業でも診療所でも同じである。
1)患者の応対
患者の必配事は素直に受け止め、できることであれば十分説明して、不安を取り 除くように努める。
診療所ではどの医療従事者も忙しく働いているが、「私の患者はあなた一人です」 という気持ちで常に患者の身になって応対する。
(1)早く病気を治したい
(2)できるだけ待たされたくない
(3)安い費用で治療を受けたい
(4)どんな治療をされるのか心配である
というような患者の心理を理解することも大切である。
(1)受付
「いらっしゃいませ」「はじめてでいらしゃいますか」といつて、患者が「はい」 と答えたら「どなたかのご紹介でおいでくださったのでしょうか」とたずねる。
次に「恐れいりますがこちらの用紙にお名前・ご住所をお書きくださいませ」といっ て、必要事項を記入してもらったら、「すみませんが、あちらの待合室でお待ちく ださいませ。
順番がまいりましたらお名前をお呼びいたします」といって、概略の 待ち時間を教えて待ってもらう。
長く待っている患者には気を配り、「もう少しお待ちください」、「お待たせしま して申しわけございません」などと声をかける。
(2)順番がくれば患者の名前を呼。
ζt 患者を個人として尊重し平等に対応する。
けっしておじいちやん、おばあちゃん といったいい方をしない。 「○○さん、大変お待たせいたしました。
どうぞこちらへ」といって診療室のなか まで案内する。
担当の先生かアシスタントに「はじめてこられた○○さんです。
よろしくお願いします」と引き合わせる。
(3)診療室での応対
「どんな具合でしょうか」、「昨晩はお休みになれましたか」などと患者の症状に 応じて声をかける。
自分が担当するときはそのまま誘導し、チェアに座る要領を教える。
治療の場合、痛みがあるようなときは「ちょっと痛むかもしれませんが、少し辛抱していた だければ大丈夫です。
でも辛抱できないと思われたら手を上げて合図をしてくださ い。
すぐ先生にお願いしてやめていただきますから」と説明しておく。
(4)チェアを離れるとき
セメントを練るためや印象材の準備をするために患者から離れるときには、ひと 声かけてから離れると患者が不安にならない。
(5)治療が終わったとき
「お疲れさまでした」、「●口がきれいになりましたね」、「よりお若くみえますよ」 のような言葉を添えるとよい。
(6)見送り
「お大事になさいませ」、「今日は大変お待たせして申しわけありませんでした。
どうぞお大事に」と心からの言葉をかける。
患者の後ろ姿にもていねいに挨渉して 見送る気持ちをもつ。