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歯科衛生士の面接

--2. 面接の基本マナーと常識--

中途採用では社会人としての常識やマナーも評価の対象。しかも身だしなみやあいさつ、言葉づかい、立ち居振る舞いは予想以上に強いインパク トがある。最低限のマナーを抑えておこう。

※ 歯科衛生士(正職員)をモデルに記載していますが、歯科医師・歯科助手でも原則は同じです。

メールや電話での面接アポから選考がスタート

■メール・電話応対が採否の判断基準にされることも
求人広告を見て″応募連絡″をする場合も、郵送した応募書類が選考をバスして志望先からの″面接連絡″を受ける場合も、メールや電話応対は採用担当者とのフアーストコンタクトになる。
程度はさまざまだが、多くの求人歯科医院がそのやりとりを採用選考の参考にしている心構えで臨もう。
「メールの書き方や雰囲気、言葉遣いで、その人の人となりがわかることも」「電話で1分間ほど話せば意欲のある人はわかります。まず、声に力がありますから」とは、ある面接担当者の言葉。
なお、基本の敬語を使い慣れていることも社会人キャリアの証明になる。



■基礎力が試されるだけに最低限の準備を
歯科衛生士の応募者側から電話をかける場合は、自宅の設置電話からがベストだが、携帯電話・PHSなら電波の状況を確認。
いずれも周囲が静かなところでかける。
テレビ音声や笑い声のBGMは不評を買いがちだ。
また、かける時間帯も大切。
応募先が外食産業なのにランチの時間帯にかけるなど、志望業界の特色や仕事の流れを理解していない応募電話は「この仕事を志望する資格なし」と判断さねる。
 一般的には始業からの1時間、昼休み前後、終業前1時間は忙しい時間帯なので避けたほうが無難だろう。
一方、志望先からの連絡を待つ場合、必要なのは環境づくり。
あらかじめ家族にも連絡があることを知らせて失礼な応答のないように頼んでおく。
とくに幼児や耳の遠い高齢者がいるケースでは要注意だ。
もともと電話応対はビジネスの基本。
姿が見えない分、余計にイメージがふくらむと考えておいたほうがよい。
ましてや、面接アポのやりとりは採用担当者と行う実際の「調整・交渉」の場でもある。
社会人としての基礎力がわかると言っても過言ではなく、「特別にいい印象を受けた歯科衛生士の応募者だけでなく、失礼な応対や要領をえない応募者もマークする」といった話は珍しくない。


見た目は、中身の印象も左右する

■危険水域に足を踏み入れないようにしたい

新卒者の就職面接では、 ″リクルートスーツ″と呼ばねる型通りの服装が定着。
だが、転職面接の場合はファッシ∃ンにも歯科衛生士の応募者ことの個性があって当然とされている。
その分、見た目の印象の影響が大きいので、歯科衛生士の応募者も悩むことに……。
「Tシャツやジーンズなどラフすぎるのは論外ですが、スーツにはこだわりません」といった声もある。
真面目に面接に臨むにふさわしいと思う格好なら柔軟に考えてOKだ。
ただし、そこにも落し穴があることは心に留めておきたい。
歯科医院の中には、保守的な考え方も少なからずあるのが実情なのだ。



■周囲の意見を聞いて面接用の自分を演出

真剣な歯科衛生士の応募者なら、見るからに不潔でだらしのない格好で面接に出向く人はいないはず。
だが、意外と多いのが自分なりの好みやこだわりがマイナス評価につながるケースだ。
清潔・健康的・理知的・誠実・活発……というのが好印象を与える見た目のキーワード。
面接の数時間、ふだんの好みやこだわりを捨てて、周囲の意見を参考に面接用の自分を演出することをおすすめしたい。


知ってるようで知らない基本マナーと動作

■キャリアのある歯科衛生士の応募者ほど注意が必要

新卒採用とは違って、入社後のトレーニングを行わなくても社会人としての基本マナーを習得している人材を獲得できるのが中途採用のメリットであることはすでに述べた。
それだけに転職面接では、 一般常識や専門性、マナーが厳しく見られる。
しかも、できて当然。
気になることがあねばチエツクされ、減点評価になるのが普通。
しかも総合評価とはならず、マナーに自信のある人が些細なことで不採用になることもある。
とくにキャリアのある人の場合は、期待値が高いせいか点数も辛くなりがち。
そのうえ志望先歯科医院の受付で応対する従業員、また面接担当者も年下であるようなケースもあって、ついつい気がゆるむ傾向があるので十分な注意が必要だろう。
例えば、受付で応対した従業員に、歯科衛生士の応募者がきちんと名を名乗ってあいさつをしたか、どんな印象を受けたななどを聞いて選考の参考にする…という歯科医院も。
また、「ある歯科衛生士の応募者は面接での礼儀は満点でしたが、案内をした従業員に残業は多いかなどと尋ねていたことがわかり、採用を思いとどまりました」というエピソードを披露してくれた面接担当者もいる。


■あらかじめ基本を押さえておくことも大切

志望先歯科医院の建物に入れば、もう歯科衛生士の応募者は注目され、チェックされている。
だが、採用面接を受けることに慣れている人は少ない。
「椅子の座り方ひとつで好感度が変わってくる」といった話を聞けば緊張せざるをえないが、そねは言い訳にならない。
そこでマスターしておきたいのが、知っているようで知らない面接会場での基本マナーや基本動作だ。
あらかじめ立ち居振る舞いのポイントを押さえておくことをおすすめしたい。
キャリアに応じた落ち着いた態度は、好感を抱いてもらうための第一歩でもある。


さあどうする?予想外の面接トラブル

■急に面接に行けなくなった

当然ながら面接をキャンセルすれば選考対象外。
だが、あきらめるのは早い。
急病など、やむをえない理由があれば改めて面接日時を設定してくれる歯科医院がなきにしもあらず。
事情を話して“ダメモト"で交渉してみる粘りがほしい。
重要なのは、行けないことが判明した時点で連絡を入れること。
「どうせ不採用だから」と連絡もしないのは、社会人としても失格だ。


■面接中に携帯電話が鳴った

もちろん、すぐ切る。
再コールの来る前に電源こと切つて「失礼しました」とあやまる。
間違つても受信メールの画面を確認したり、電話に出たりしてはいけない。
たとえ「今、面接中だから切るよ」などという会話でも、社会人としての常識を疑われてしまう。
こんな失敗をら巳さないよう、会場に入る前に携帯電話やPHSの電源は必ず切つておくこと。


■約束の時間に遅れそうだ

汗だくで駆け込むのも、 5分遅れで行くのも減点評価。
遅刻しそうな時点で、すぐ先方に電話を入れるのが鉄則だ。
連絡なしで面接担当者を待たせる事態になれば、挽回はむずかしいし、「急げば間に合うかも」というときでも迷わず先方に連絡することで判断力とマナーが得点になることもある。
まず約束に遅れることを謝り、何分くらい遅れるかを伝える。


■出されたお茶をこぼしてしまった

予想外の事態に動じないことが何よりも大切。
実は面接担当者の印象に残るのは、お茶をこぼしたこと自体よりも、その後のリアクションなのだ。
「申し訳ありません」と落ち着いて機敏に対処すれば、注意力散漫な慌て者のイメージは抱かれないのが普通だ。
なお、コーヒーやお茶を出された際は軽い会釈でお礼を示し、ひと口でも飲むのがマナー。


■面接で歯科医院名を間違えた

単なる言い間違いならともかく、同時応募した別の歯科医院と混同したようなケースは冷汗もの。
ただし、それだけで不採用になることは少ないので「すみません間違えました」と素直に謝るのがベスト。
下手に言い訳をするのは逆効果だ。
「その歯科医院も受けてるの?」と聞かれたら、「御社と同時に応募を検討しました」などと正直に答えたほうがよい。